【2040年のモノ】iPhoneのインパクトは「技術の“拡散”」だ
2040年の「ケータイ」を想像してみる〈前編〉
■顔認識、指紋認証…。重要なのは、技術をどう使うか
スマートフォンが年間数十億台規模で作られるようになり、低価格でクオリティの高い技術が簡単に手に入るようになった昨今。一気に拡散され、身近なものになってきた技術は、近い未来ではどのように進化していくのだろうか。
「これから変わってくるものがあるとすれば、顔を認識する技術や立体を認識する技術ですね。例えば顔認識や指紋認証。昔はものすごくコストがかかるものでしたが、今はスマホでロックを解除する際に使えるなど、身近なものになりました。
また、これからは写真がどんどん立体になっていきます。平面の写真を立体に見るという意味ではなく、カメラが奥行きをきちんと理解するようになるということ。違う場所にピントが合ってしまった写真も、後からピントを直すことができれば失敗ではなくなりますよね。そのためには奥行きの情報を持っていなければならない。空間を立体として認識すると、他にもいろんなことができるようになってきます。カメラのセンサーとしての役割が大きなものになってきているんです」
近い未来では指紋認証や、顔認証、立体を認識するといった技術が今以上に拡散されていきそうだ。遅くとも2020年頃にはかなり一般的なものになっているだろう。作り手は、「拡散された技術をどう使うか」という視点を問われていくことになるだろう。
「技術に対しての“視点”が変わってきたのが一番大きな変化ですね。技術の進化というのは、ある日すごい発明があって突然新しいことができるということはほとんどありません。今ある技術の組み合わせで新しいことができるようになる。例えばAとBの組み合わせで変わるとか、Aのために使っていた物のチューニングを変えるとBに使えるようになるとか、そういう組み合わせで成り立っています。発想を変えて考えるということですね。
スマートフォンの中に入っている技術もそうです。モーションセンサーがドローンに入ると自動的に飛ばせる機械に変わるとか、車に入ると自動運転に変わるというのは、本来はスマートフォンの画面の縦横を認識するための技術を、発想を変えて別のものに使った例です。同じようにカメラも、性能のいいカメラを開発するというよりは、センサーとして使い分けるように変化していっている。スマートフォンが今やっていることは、技術をどう使うかという発想の勝負になってきているんです」
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